方法毎の欠点と利点

不幸にも歯を失ってしまった場合の治療法は大きく分けて3つに分かれます。

  1. 取り外しのきく義歯をいれる
  2. 両隣の歯を削って固定するブリッジを固定する
  3. 人工歯根(インプラント)を手術で骨に埋め込む

お口の中の状況に合わせて考えて行く必要があります。

今はいろいろな入れ歯があります。メリットデメリットを押さえた上で選んで頂くことをお勧め致します。

費用面や設計面、長期的な安定性、その方のライフスタイルや性格を考慮の上ご自身の現状に一番合ったものに出会えるお手伝いを致します。

笑顔で使える義歯を選ぶために

作ったのに結局使わない入れ歯を作るのは、例えそれが健康保険内で安価にすますことができたものであったとしても、辛い物です。

快適な人生を送るために義歯をつけるのですから、きちんと使える物を、気持ちよく笑顔で使える物をつけることをお勧め致します。

入れ歯は、“かつら”や“帽子”のように見かけ上のものではありません。

基本的にはいつもお口の中に入れておくべきもので、食べるための人工臓器の一部ですから、なおさらです。

新しい技術を使ったものは快適なのですが、まだ残念ながら保険適用されていません。この辺りは保険の限界なのかもしれませんが…何とかして頂きたいところです。

どうしても値段、とにかく安上がりに保険の義歯を入れた結果、その方にとっては装着感が悪くてなじめずに結局使わなくなってしまった例などは、残念ながら多く、保険外のものをお勧めする事が多いのはそのためです。ご理解いただければ幸いです。

保険内の義歯と保険外の義歯についても、比較しておりますので、お読み下さいませ。

入れ歯の種類

健康保険の義歯

上顎 健康保険の義歯の例

残っている歯にワイヤークラスプという金属のバネでひっかけてプラスティックでできた義歯本体を支えます。歯のない面積に比例して覆われる部分が増えていきます。

パラタルバーと呼ばれる口蓋を横切る部分などは違和感の原因の一つなのですが、安定させるためにはこうした部分がどうしても必要となってきてしまい、それがこのタイプの義歯の最大の欠点ともいえます。

下顎 健康保険の義歯の例

リンガルバーと呼ばれる部分が内側に通過することで両側の欠損部分を安定させますが、この部分は大きな違和感の一つの原因ともなります。

クラスプと呼ばれる金属のバネで残っている歯に引っ掛けて維持しますので、義歯着脱時に残っている歯に対して必ず揺さぶりをかける力を与えてしまいます。

また義歯使用時にも食事のときのゆれが完全におさえこまれていないので、食べかすが義歯床との間に入りやすくなり、残念ながら、慣れていただくまでにいろいろな意味で不都合が多いといった欠点があります。

また、クラスプの金属がみえるので、前歯に近い部分に引っ掛ける必要がある場合には審美的ではありません。

また、お刺身などのイカやアワビなどはかみきれませんし義歯が壊れます。

アタッチメントを利用した義歯

(A)マグネットデンチャー

義歯に使われている維持装置として一般的な「クラスプ」。

正確にはクラスプワイヤーと呼ばれますが、これでは金属が見えて見栄えが悪い上に歯への負担が強すぎるといった欠点がありました。

それに対して、維持装置として残っている歯の一部あるいは数本にマグネットを歯と義歯の双方に埋め込みます。

これで、クラスプをなくすことができてすっきりとした設計に変更することが可能となりました。

クラスプが見えないので、義歯としての構造がかなりすっきりとした設計となり口蓋部分も覆わずにすみ審美的にも違和感がかなり改善されたものとなっております。

※臨床参考価格

この写真の例では、保険外となりますので「磁性アタッチメント4箇所×8万円、根面板4箇所×2万円、補強用金属床10万円、義歯床本体(5歯以上)20万円」これらすべてを合計して70万円となりました。ご要望など承りますのでお気軽にご相談下さい。

(B)その他のアタッチメント

 スナップタイプの凹凸のアタッチメントによる勘合力で支台となる歯やインプラントにセットしてパチンとはめて、義歯を外れにくくして使います。

ケラターアタッチメント  ロケーターアタッチメント、等は外国製なので少々割高ですが、クーゲルホックアタッチメントは国産のものでパーツ代が安く済む利点があります。

テレスコープタイプ義歯

健康保険でできるクラスプ義歯の欠点をカバーするためにいろいろな研究がされてきました。

とくに、ドイツにおいてはすぐれた研究が古くから行われてきており、いかに丈夫で違和感を少なくして長期的に維持できるかがポイントでした。

テレスコープ・システムとは、ドイツでは何十年も前から臨床に応用され、過酷な口腔内で長期間安定して機能し続けることのできる義歯として評価されており、現在、数ある義歯の中でも最高位のものとして、使用され続けております。

その構造は、精巧に作られた内冠と呼ばれるものを、残っている歯を加工してかぶせ、さらに、それに合わせて外冠と呼ばれる義歯と一体化して作られているものを装着して使うという、それまでの義歯の概念を大きく変えたものです。

これまでに通常のタイプの義歯を使用されてこられた方であれば、嫌と言うほどわかっていらっしゃると思いますが、歯のない部分を覆うあのピンク色の床とよばれる義歯本体部分が少ない面積ですむために、違和感が強く出ないという点です。

過去のテレスコープ義歯はその歴史的なながれのなかで、はずれないようにする維持をどのようにして行えばよいのかで、さまざまな方法がとられてきましたが、現在では内冠と外冠の緊密な適合による表面張力を利用したレジリエンツテレスコープが多く使われています。

特殊樹脂のノンクラスプデンチャー

通常の取り外しのできる義歯は、クラスプという支えるために金属の維持装置がつきものです。

この金属部分は見た目にはあまりかっこいいものではありませんし、老けた感じがします。

これを特殊な樹脂により、金属部分をなくしたタイプの義歯ができるようになりました。(バイオトーン、バルプラスト、エステショットなどの製品名があります)

これは維持する部分に、スーパーポリアミド樹脂という通常外科の縫合糸などにも使用されている丈夫でいくら折り曲げても折れにくいという性質をもつ素材を使うことで可能になりました。

フィット感が良く人体にやさしい素材のためアレルギーの心配がなく見た目にも金属色でないために審美的であるという利点があります。

柔軟性のある素材が歯の豊隆をのりこえて

ヌルっとした感じで歯の下の部分に収まり義歯を維持してくれます。

噛んだ時の安定性を重視するためにフレーム本体の部分はあえて金属床で剛性を確保して見える部分だけをこの特殊樹脂を使うという手法が最近のノンクラスプ義歯の設計法としてはトレンドになってきています。

(上の金属床併用タイプのノンクラスプデンチャーの臨床価格はチタン金属床フレーム 60万円と合わせて合計80万円です。金属床でないノンクラスプ義歯のみの場合は20万円です)

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