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顎関節症と一般的によばれている症状です。

顎は通常の人間の関節とは違い、もっとデリケートな構造になっています。

頭の上の骨と下の顎の骨が関節円板とよばれる座布団のような軟骨を介在してできています。

顎が動くときにはこの関節円板が顎関節といっしょに、スムースに動いてすべってくれるのですが、

  • 歯を失ったり
  • 何らかの噛み合わせの悪い状態をそのままにしておいたり
  • 夜間の強い歯ぎしり

で、この関節への負担が増えて、結果関節円板がづれてしまい元のいい位置でなくなってしまう現象が起きてきます。

ある日突然口があけにくくなることも

初期の段階では何となくあごが鳴るといった状態であったのが、ある日突然口があけにくくなってしまうといった状態にうつってしまうこともあります。

  • 関節円板がずれて初期の段階であれば、その状態を徒手整復して元に戻せる確立は高いです。
  • それがだいぶ時間がたってからですと、完全に関節円板は元の位置には戻せないことが多いです。

日中の何気ない癖で歯を無意識にくいしばったりあてたり、舌を歯の間に挟み込んだりどこかに押し付けていたり(歯牙接触癖TCH)、口唇に力を入れ過ぎていたりして、あるいは夜間の歯ぎしりで、かみ合わせをつかさどる筋肉に異常な緊張状態が蓄積していきそのためにおこることが多いということも最近わかってきました。

日常のほおづえや、固まった事務作業や寝る向きも関係していることがあります。

すぐに削ったりする前に見直しを

すぐにどこかを削ったりするなどの治療をする前に、本当にかみ合わせが悪いのか、あるいはそういった“癖”も伴っていないか見極めたうえで、必要に応じてそうしたストレスに耐えられるかみ合わせを補正したり矯正してやることが重要です。

お使いの枕の形状を見直したり、日頃のストレスをため込まないように適度のストレッチングをしたり、オステオパシーなどの整体治療などで体にたまった歪をほぐしていくことは非常に大切です。

2019-10-16_23-07-30

ストレスマネジメントと咬合咀嚼器官について

ヒトの咀嚼器官には以下に示すようにかなり多くの因子が関与しています。

たとえば、身内に不幸があったり、会社でかなり大きなストレスがあったりといった一見何の関係もないようなことがらが実は咀嚼器官にも大きな影響を及ぼしている可能性があります。

太古の昔、ヒトとなる前の、サルなどの動物は、情動を表すのに、きばをむいたりする行動で相手を威嚇してきました。

そして現代では、私たちは日々多くのストレスの中に生きておりながらも、大脳辺縁系にある、感情や情動を制御コントロールしている新皮質の部分が、進化の過程でかなり進化してきたために、動物のように情動的な感情的なことをストレートに発散させなくなってきているとも言えます。

その結果、その発散の場所として、つまりストレスマネジメントの場として、咀嚼器官が使われていると考えられるようになってきました。

最近の研究では、そうした咀嚼とストレスマネジメントの関連性を示す文献が国内外から多くだされるようになってきています。

そう考えてきますと、ストレスに耐えられるような歯牙への負担のかからない良好なかみ合わせであることは非常に重要となってくる訳です。

スムースな歯ぎしりができない場合、顎がおかしくなるか、そうでなければ、ある部分の歯の方が割れるか擦り減るかしみてくるか歯周病になってぐらついてくるかといった不都合が生じてくるわけです。

また、デリケートな咀嚼器官を守るには、ご自身でもそういうことがあるのだといった気づきみたいなものを認識していただくことにより、かなりそれだけで症状が改善されたという例も大学病院では多数報告されております。

したがって場合によってはスプリントとよばれるプラスティック製の取り外しのきく装置(健康保険適応)を入れて様子をうかがいながら、その反応から、最終的にどのような噛み合わせで長期間安定した状態を維持できるかを考えていき、場合によっては矯正治療が必要な場合も出てくるわけです。

本格治療を望まれない場合にも、とりあえず上にあげた各因子の除去をできるだけご自身でも考えていってはいかがでしょうか。

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