近年、人間のあごの大きさは、進化と共に、食生活習慣の変化によって小さくなってきている傾向にあります。

それにともなって、あごの一番うしろにある“親知らず”は、ふつうに生えることができなくなってきています。

ご自身で、親知らずの存在に気づかないのは、あごの中で、横を向いて埋まっていたり、歯ぐきの中でかくれていたりすることが多く、知らない間に悪化していることが多いのです。

親知らずは、その異常なはえ方によって、前にある正常な歯を押しつけて歯の並びを乱してしまいます。

その結果、かみ合せをくるわせたり、ひどいときは正常の歯を溶かすこともあります。

さらには、歯ぐきの奥の磨き残しによって、そこから細菌が繁殖して、顔を大きく腫れさす危険性をもっています。

(右図)

こんな症状なら要注意

今まで、あごの奥がうずいたり、腫れたりしたことがあったら要注意です。

その症状が、一度おさまっても、体調に応じて再発することが多く、それを繰り返せば慢性の骨髄炎にもなりかねません。

また現在、何も症状がない場合でも発病するリスクがある以上は、早いうちに取り除くことが望まれます。

なぜなら

  • 年齢と共に、細菌に対する抵抗力が減少して脹れの起こりやすい状態になるため
  • 親知らずは、年齢と共に癒着してとりにくくなる

ためです。

ひとたび発病すると、入院を要するおおごとにもなりかねません。若い女性の方などは、そのまま放置し、妊娠時に脹れてしまったりすると、どうすることもできなくなってしまいます。

親知らずに関しては、“百害あって一利”なし

歯を抜くことに、嫌悪感抱く方がおおいかもしれませんが、親知らずに関しては、“百害あって一利”なしであり、残りの歯をしっかりケアして残し、体調が万全のときにその対処をしておくのが、得策といえます。

欧米では、若いうちから、全身麻酔で抜くことが多く、抜歯の重要性が広まってきています。本院では、手術は、1時間から2時間ぐらいの局所麻酔で、口腔外科所属医や経験豊富なドクターにより行われ、また、難しい症例は、東京医科歯科大病院多摩総合医療センター歯科口腔外科へご紹介するといった連携もとっております。

ご心配な点がありましたら、気兼ねなくご相談ください。

Q&A

Q.痛くないですか?

A.基本的に、部分麻酔を十分行いますので、手術中の痛みは、あまりありません。ただし、口の奥の手術なので、唇を引っ張るため、鈍い突っ張り感や、抜く瞬間の、あごへの振動は、避けられません。

Q.術後は、どうなりますか?

A.上の歯で、まっすぐ生えているものは、脹れないことが多いですが、たいていは、1週間程度、大きく脹れます。

これは、からだが、抜いた部分の修復をするために起こることで、心配は要りません。ただ、脹れが静まるまでは、食事はしづらいことが多いです。

また、麻酔がきれた後の痛みは、強力な鎮痛剤でコントロールしてもらいます。抜いたところには、平らになるまでは、どんな方でも、半年以上かかりますが、食事には差し支えありません。

費用
基本的には保険治療適用ですが、矯正治療のための戦略的な抜歯や、15歳未満のお子様の親知らずの抜歯に関しましては自費治療となりますのでご了承ください(抜歯費用1万円-2万円)

抜いた方がよい親知らずとは

真は右奥の歯が痛いとのことで来院された20代の男性のレントゲン写真です。

横に向いて生えているのが親知らずです。

手前の第二大臼歯はその間は当然磨くことができず虫歯になってしまい、歯髄の方まで虫歯の黒い影(赤〇の部分)がすすみ始めているのがお分かりいただけると思います。

こうなってくると、治療方法としては第二大臼歯の根の処置(神経をとる作業)を行います。

実際に第二大臼歯の根管治療をするために銀歯を外して、上から穴をあけた状態の写真です。

このように親知らず自身も虫歯になってしまっているのがお分かりいただけると思います。また食い込むようによりそっているために、たとえ神経の治療をした後もこの部分は再度虫歯のリスクが残ってしまいます。

第3大臼歯(親知らず)は同日に抜歯されました。
後日根管治療終了後に第2大臼歯にはクラウンがかぶせられて治療終了となりました。

お問合せはこちらから オンライン予約はこちら
お問合せはこちらから オンライン予約はこちら