このような症状は40歳以降から訴えてこられる方が多くなります。

歯の並んでいる全体的な歯列には緩やかなカーブがついているのですが、このカーブのために、それぞれの歯には手前にたおれこんでくる力が噛む度に加わっていきます。

(この力のことをアンテリアコンポーネントフォースと呼んでいます)

そのために、どのような人でも年をとるにつれて手前への歯の倒れこみ現象が多少ともおこるのは生理的な現象と言えるのですが、問題はそれがあまりに急速に進んできた場合です。

原因としては

  1. 骨格的にもともと上下顎の歯並びにおいて臼歯と前歯の連携が取れていなかった場合
  2. 調和のとれた歯の噛み合わせの面が機能的に作られていなかったり、前歯の角度がその人の顎の動きの角度に調和していなかった場合
  3. 上下の噛み合せの高さの不足や、低すぎる入れ歯や被せ物が奥歯に多数存在する場合
  4. 口腔周囲筋のアンバランスと突出舌癖(舌を歯の後ろ側に強く押し付けるような癖のこと)や、鼻の疾患に伴う慢性的な口呼吸
  5. それに加えて口腔清掃不良による慢性的な歯周病

など、複合的な要因がからむことで症状が表面化してきます。

高齢化に伴う歯の咬耗の可能性も

特に高齢化に伴い、歯の咬耗が進んでいくことで歯の表面がつるつるになってきたり、夜間の過度のブラキシズムやくいしばりなどで歯の片べりが起きてくる場合があります。

この時、早い段階で、前歯の出てきたことを実感されて、それが来院のきっかけとなる場合も多々あります。

このような場合には、放置しておくと、やがて、前歯がぐらつきはじめ、将来その部位から抜歯となることが多いようです。過去にかぶせ物の治療が一貫性をもって行われてきていない場合にもよくみられます。

咬合面が上手くかみ合っていない場合

咬合面が昔健康保険で作られた歯のように大量生産的に、はしょって作られてしまっている場合などは、上下の歯の噛み合ってほしい咬合面の最低三点のスポットが1点しかあたっていなかったり、あるいはまったくあたっていなかったり、面として接触してしまっている場合がこれに相当します。

当時治療をうけられた時に違和感がないので、みなさんに気づかれることがなく、こんなものかと思っていた、ということも。

時間がたってから分かるケースも

そうすると、その後何年も時間がたってから、このような困った現象が出てきてしまいます。

時間が相当たってから、前歯がひらいてくるといった現象として現れるので、患者さんご自身もその時の噛み合わせが原因だったなどとは夢にも思われない方が多いようです。

その方にあった咬合(噛み合わせ)を調和の取れた状態でセットするということはどういうことでしょうか。

それは

  1. 歯の形態に技工士さんが時間をかけて注意深く作り上げる
  2. セットのときに、われわれ医療機関側で患者さんの口腔内において、時間をかけて注意深く調整さする
  3. さらにその後少し使っていただいてからもう一度確認の調整

をしてはじめて完成されるものなのです。そしてここまでの作業は健康保険では難しいのが今の精度の限界です。

自費で治療する場合の流れ

  1. まず現状の顎位(噛み合わせ)の検査(健康保険にはかみ合わせを治すという点数項目がありませんので自費治療)からはじまります。
  2. 歯の位置が悪い場合には、歯周治療後に矯正治療をまずしていただき、歯を所定の位置にもっていきます。
  3. そのあとに、既存の不備な形態のかぶせ物をすべて撤去して仮の歯をセットして顎位を正常な状態にまで調整していきます。
  4. 歯並びと噛み合わせが安定したところで、その人それぞれの顎の動きにあわせて調和できる咬合面形態が形作られている歯を仮の歯にかわっておきかえていきます。

治療以外にも大切なこと

夜中の歯ぎしりがひどい場合には、ストレスをなるべく体にためこまないように、寝る前に、適度のストレッチング体操や日ごろの運動なども考慮していただく必要もあるでしょう。

オステオパシーや整体(カイロプラクティス)に行って体の緊張や軸の歪みひずみをとってもらうことも大切でしょう。

とはいえ、現代社会においてストレスをまったくなくすことは不可能ですので、逆にそういった過酷な状況に耐えられる口腔内の状態を構築することが重要です。

そのためにもその方に応じた骨格やあごの動きに調和したた噛み合わせを持って頂きたいのです。

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