歯のトラブルが繰り返す理由とは?
治しても治しても、また同じ場所がダメになる経験はありませんか?
せっかく治したのに、また同じところが悪くなる。なぜだろうと悩む方も多いです。
多くの研究者の報告をまとめると、歯のトラブルが起きる大きな理由は2つあります。
- 清潔な口腔内を保てていない場合
- 特定の歯だけに力がかかるバランスの悪い噛み合わせ
1つ目は分かりやすい問題です。ブラッシングの習慣や磨き方が良くないと、口の中の環境が改善せず、再発しやすくなります。
歯のトラブル:歯磨きの問題ではなく、噛み合わせの可能性も
もし口腔ケアがしっかりできているのに、何度も同じ場所がダメになる場合。それは、噛み合わせのバランスが悪い可能性があります。
症状の出た場所だけを治療しても、噛み合わせの「力の干渉」が蓄積し再びトラブルが起きやすくなります。
歯並びをよくする矯正治療は、見た目だけでなく、機能的にも対応できる口腔内環境を作ることが大切です。
これにより、歯や歯周組織、顎関節への負担が減り、長期的に守られるようになります。

(図1)
噛み合わせが原因だった症例
一つの例として、症例(図1)をご紹介します。
この方は初診時、噛み合わせが見た目にも明らかに悪く、奥歯の咬合干渉が強くてしみる歯がありました。
以前、しみる原因で歯の神経を取られ、奥歯にかぶせ物が多数入っていました。
ご自身では歯磨きをしっかりしており、口腔ケアにも気を使っていました。それでも何度も歯を削る治療が必要になり、本質的な原因を調べてほしいと総合治療を希望されました。
総合治療は、2つの原因のどちらかを調べることから始まります。この方の口腔ケアや清掃状態には問題なく、歯周病もありませんでした。そこで、咬合状態の審査診断を行いました。
顎機能精密検査
咬合状態を知るため、顎機能精密検査を行います。顎の動きをコンピューターで解析したり、夜間の歯ぎしりを調べたり、骨格や咬合面の角度を模型やレントゲンで測定します。
なぜ不正咬合が成長発育の段階で起きたのかも考え、その要因を取り除く方法で矯正治療を行います。必要に応じて、以前のひずみのあるかぶせ物も修正し、補綴治療で安定した状態を作ります。

総合治療終了後(図2)
総合治療後「嚙み心地がとても軽くなってよかった」
総合治療終了後(図2)、見た目はもちろん良くなりましたが、何よりも噛むたびに発生する力が上下の歯にバランスよく伝わるようになりました。
各歯にかかる力が分散され、嚙み心地がとても軽くなったと喜ばれました。
良い咬合状態は、寝ている時の歯ぎしりが起きても特定の部分に負担がかかりすぎません。長期的な安定性が保たれやすい環境です。
現在でも10年以上経過していますが、定期的なメンテナンスだけで他のトラブルは起きていません。
歯科治療は選択肢が多く、かぶせ物の素材だけでなく、本質的な総合治療が必要な場合も多いです。
保険治療だけの「そこだけ治療」で一時的に症状が収まっても、根本的な解決にはならないことが多いのが現状です。
また、当院では歯科情報を様々に発信していますのでぜひご覧下さい。

歯の治療は、一般的な内科治療などと少し違いがあります。それは「同じ箇所の治療でも、やり方がたくさんある」ということ。例えば、1つの虫歯を治すだけでも「治療方法」「使う材料」「制作方法」がたくさんあります。選択を誤ると、思わぬ苦労や想像していなかった悩みを抱えてしまうことも、少なくありません。
当院では、みなさまに安心と満足の生活を得て頂くことを目標に、皆様の立場に立った治療を心がけています。お気軽にお越し下さい。