8割が感染していると言われる感染症をご存じですか?

実は平成28年に出された厚労省の歯科疾患実態調査のデータによれば、「歯が痛い、しみる」または「歯茎が痛い、腫れている、出血がある」などの歯周病に、25歳以上の国民の約8割が何らかの形で罹患しているということが発表されました。

どうして8割も罹患しているのに、もっと対策が取られていないんだろうと、疑問に思われませんか?

たとえば国民の8割が糖尿病です…とか、国民の8割が頭痛もちです…いうことはまずないでしょう。そこには何らかの自覚症状がある。なので、ほっておかれずに検査を受けるなどの対策を講じているからです。

進行するまで自覚症状が薄いため、タチが悪い

それは、歯周病はひどくなるまで自覚症状にきづきにくく、分かりづらいからです。

しかも頭痛や腹痛などの日常生活にすぐに支障が生じるような自覚症状でないだけに本当にたちが悪いのです。その結果かなりステージの進んで自覚症状がでた状態から治療が開始されるために治療がすぐに終わらない悪循環に入ってしまいます。

です。なので、もし本当にそれに対して取り組もうと思われるのであれば、なんでもない毎日から、たまにエールを送り続けてもらえるサポーターやコーチのような存在の人を自分のためにつけておく必要があるということです。

診療室に健診でお見えになった方の多くから聞かれる会話に、「え?わたしって、歯周病だったんですか?」とまるで他人事のように平然と言われる方が多いのです。

歯石がたくさんついていて、お話ししながら口臭もあるな、といった方でも自覚がなく、歯周病である方が多いのです。

そんなわけで、ご自分では自覚されていない方へのメッセージも込めて今回は書いています。

歯周病は立派な細菌感染症

歯周病は歯周病菌から起きる細菌感染症と言われています。

歯周病菌と一口にいってもそれは一種類ではなく、複数存在しています。相互にそれらが連絡を取り合っているということまで最近分かってきました。悪者はいつでも手を変え品を変え悪さをしようと躍起なのでしょう。

その歯周病対策は、極論すると基本的にはそれらの細菌が増えすぎないようなレベルまで毎日きれいにしてやる、ただそれだけでいいのです。

ところが、手に取ってきれいになったかどうか自分の目で見ながら洗える食器などとは違います。口の中の汚れはとれたつもり、でいつでも終了、となるのは致し方ないのです

口の中の歯や歯茎は取り出して自分で直接見ながら洗えませんから。

自分のつかう茶碗がご飯を入れる前に汚れがついていたら誰だってきれいにしてから食べようとしますよね。それは自分のその目で直接汚れが見えているからなのです。

汚れていたとしても、無視してその上から料理をのせてしまえばわからないなどということは、自分事として考えると絶対にしないと思います。

目に見えないものに対しての弱さ

要するに目で直接見えていればきれいにするが、見えていない場合はどんなにやってもきれいにしたつもり…どまりなのです。

国民の8割が何らかの形で歯周病であるという事実はまさにここの点がいかに解決できていないかを物語っています。

毎日こまめに掃除する一部の几帳面な方以外は自分でとりきれていなかった汚れた部分をきれいにしてもらうために、3,4か月に一度くらいは歯科衛生士さんの目で直接見てもらいながらバイオフィルムや汚れを丁寧に人の手で取ってきれいに磨いてもらう必要があるのです。自分の口の中が毎日使う茶碗や食器だと思って考えてみられるといいでしょう。

ちなみに、バイオフィルムとは細菌の作る被膜みたいなも。なので、排水管、下水管の内面のあのぬるぬるした状態のことを指します。

本当に自分の口の中の汚れは皆さんが思っている以上にとれていなくて、隅々にバイオフィルムがたまって堆積していている方が多いんですよ。

ぜひ、定期的なメンテナンスをして下さい

でも、縁あってこのコラムをお読みいただいている賢明なあなたには、私としてはその国民の8割の中に入ってもらいたくありません。あなたのお口のなかの専属のコーチとして、ホワイトエッセンスのセラピストとして活躍している歯科衛生士さんをつけてみてはいかがでしょうか。

定期的なクリーニングをしてもらいながら、もし問題の兆候が見つかればドクターへ連絡が入り、その時は治療を受けていただきます。

そして問題なければ再度何か月か後にクリーニングを受けながらチェックして皆さんのお口の健康状態を見守り続ける…というものです。これが徹底したサイクルで継続的に回り始めると、かなりの方の老後が歯のための余分な治療費や入れ歯のための費用をかけずに素晴らしい食生活を迎えられることと思います。

結果的に総医療費は下がり、本当に困った病気に対して手厚い給付がなされるようになる、といった良いサイクルが誕生していくかもしれません。